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ウインクホシヅル  世界SF全集28・星新一作品100 
 世界SF全集35・日本のSF(短編集)現代編 
ジャンプホシヅル

早川書房 世界SF全集28 星新一作品100
「世界SF全集28 星新一 作品100」(早川書房)
1969年7月20日初版印刷・7月31日初版発行 定価770円
函・扉・表紙 勝呂 忠氏

世界SF全集28 星新一作品100表紙
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解説「ホシ氏の秘密」(石川喬司氏)より抜粋。

『気まぐれ指数』・・・はじめての長編小説。東京新聞連載。新潮社より1963(S38)年10月刊行。
『花とひみつ』・・・1964(S39)年私家版絵本。
『夢魔の標的』・・・1963〜64年「SFマガジン」連載。
『ノックの音が』・・・1965(S40)年「サンデー毎日」連載。
『気まぐれロボット』・・・1966(S41)年「朝日新聞」連載。
『進化した猿たち』・・・1968(S43)年「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」連載。
『盗賊会社』・・・1968(S43)年「日本経済新聞」連載。

 アメリカの『MFSF』誌1964年1月号に「ボッコちゃん」、ソ連の『世界SF選集』(ミル出版社)の国際アンソロジーに「冬きたりなば」、『ホクサイの世界』(ミル出版社)に「タバコ」「願望」「冬きたりなば」「宇宙の男たち」。

★書評など

「星新一氏が、黒岩重吾氏と並んで、今期の直木賞のかなり有力な候補とされているという。・・・氏の作品が選考委員たちにどのように受けとられ、議論されるかということは、ちょっとした楽しみだ。それはある意味で”一つの対決”をわれわれに予測させるからである。・・・星氏の作品の系列は、おそらく直木賞の今までのそれに比べると、まったく異質のものといってよい。それは、一言にしていえば、現代的ということだ。選考委員がどんな反応をみせるか、その反応の仕方が、実は、選考委員のこれからの仕事をのぞかせることにもなる。対決というのは、そういう意味だ」(週刊朝日・扇谷正造氏)

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「・・・審査員の選後評を見ると(星氏の作品は)殆ど問題にされていない。それどころか<文学の中には入らない>と言明している人もあるほどである。審査員にとっては文学というものは随分、停滞していて、狭い範囲のものであるらしい」(日本読書新聞・飯沢匡氏)

☆★☆

「本誌(新刊ニュース):先生、今の新進作家の作品はご覧になりますか。
谷崎潤一郎:たまに見ることがあるんですけれどね、目が悪いものだから、昼間で暇なときでないと・・・。
本誌:どんな人がお好きですか。
谷崎:そうだな・・・。あんまり読まないな。だけれど、星新一なんかみてますよ。
淡路恵子:星新一という人のショート・ショート、好きですね」(新刊ニュース)

☆★☆

「・・・アウシュビッツの悲惨な模様とか、核戦争のあとの人類の生き残りがこうだというのを、これは重いぞ、といって、作者がさし出すよりも、星新一さんがサラッと現代人の画一主義を夢物語として差し出す、そのほうがずっといいような気がしたな。ぼくは星さんを愛読しているせいもありますが」(文学界・平野謙氏)

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「彼は宇宙人が必要であれば単に宇宙人としか表現しない。・・・彼は一旦、現実を遮断した場所から作品を創った。・・・文体から見る限り、この特異な作家は日本的な感性の作家であり、その多くの作品にある詩は、一人の人間の孤独な魂をうたったソネットであるといえるだろう」(大衆文学研究・加納一朗氏)

☆★☆

「星新一は、現代人が立たされている深淵へ、何気ない顔をして招待する。それは洗練された手品師のように礼儀正しく、愛嬌もあり、人々は日常そうしつけてきたように、太陽を浴びて、かれの導くコースについていく。・・・ハイキングにでもゆくように、わたしたちは自分自身の恐怖に向かって降りていく。しかし深淵のふちに立って、突然、その暗い底から吹きあげる恐怖の風に突かれ、人々は、はじめて取り返しのつかない場所へと連れてこられた気付く。星新一は、しずかな微笑をもって、実に取り返しのつかない場所へ連れていってくれる。この場所は、まちがいなく現実の一部なのである。・・・佐野洋の発言によれば、星新一は、たとえば嫉妬を感じたら嫉妬を具象化する、という風に発想を定着していくという。これはプロットを発想の起点としないで、精神の衝撃を非情に映像化する。つまり、衝撃の物質化への志向、といっていいとおもわれる。星新一の作品が、一種の詩に近いものを感じさせるのは、こうしたことによるものだと思う」(宝石・ヨシダヨシエ氏)

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「エヌ氏は、この作家の倦怠であり、ペシミズムであり、こっけいな愚かしさであり、それを見つめる冷たい目である。エヌ氏は、ノーマルで、ノーマッド(遊牧者)で、ノーボディ(だれでもない)で、しかも私たちに親しいだれかなのである」(サンケイ新聞・光)

☆★☆

「自分で気に入っているのは、読みかえすとたどたどしい感はあるが『ボッコちゃん』である。」(中略)「このなかには私のもつすべてが、少しずつ含まれているようだ。気まぐれ、残酷、ナンセンスがかったユーモア、ちょっと詩的まがい、なげやりなところ、風刺、寓話的なところなどの点である」

「星:そのほか僕が作品を書く上に非常に影響を及ぼしているらしいのが、民話です。民話は大部分アンモラルというか、論理も倫理もないものが多い。そこが面白いのです。宇宙が人間に対する態度もそれと似てるんじゃないかと思う。

「アル星 大カンゲイ キススル ワアワアワア キノカゲデ ハイテルヤツガアル オイワイデノミスギダロウ サア ゴチソウ ミンナシリカラタベハジメル」(「親善キッス」のメモ)

「ニャゴ ニャーゴ ネコツケル キツネ トラモ ゾウ ブタ ゴリラ」(「ツキ計画」のメモ)

『おーい でてこーい』に関する伝説

 1.穴のアイデアは、タンクタンクローというマンガの主人公から思いついた、という説がある。タンクタンクローの腹の中からは、鉄砲でも戦車でもなんでも出てくる。そこで、反対にタンクローの腹の中には、なんでも入れることができるだろうと考えた。タンクもいいが原因不明の穴のほうが不気味ではなかろうか。入ったものは、常識では考えられない場所から出てくるようにする。そこで〇から〇〇〇くることにした−−−というのである。 ※「〇」←はオチを割らないよう伏せました。

 2.また一説では、友人がトイレに入ったまま出てこないので、外から戸をトントンと叩き「おーい でてこーい」と声をかけたとたん、うしろから「ワッ!」と驚かされたときのショックを再構成した、ともいわれる。

「あるラジオに一緒に出演したが放送が終って局員が出演料をもってくると星さんは目の前でパッとお札を抜き出して折りたたんでサッとポケットに入れ、封筒をくしゃくしゃと丸めてその人の見ている目の前でポンと灰皿の中に放り込んだ。こんな仕草をぼくなどやろうものなら最低の人間にしか映らないのだが、星さんがやると愛嬌にも変った人に見えてくるのである。」

 エピソード2.星さんと真鍋さんが西武デパートで講演会。西武のお偉方が挨拶にきて話し始めたら、星さんが突然「帰ろうか」と言い出した。相手は驚いてキョトンとした顔。

 エピソード3.パリのホテルのフロントマスターに、真鍋さんが星さんの息子だと思われた。

 真鍋さんの願望:自分がショートショートを書いて、星さんに挿絵を描いて欲しい。実際、出版社や雑誌社に持ちかけてみたが、いまだに実現の可能性はないらしい。

収録作品100
ボッコちゃん / おーい でてこーい / 症状 / 福の神 / おみやげ / 最初の説得 / なぞの青年 / 鏡 / 暑さ / マネー・エイジ / 宇宙の男たち / ジャックと豆の木 / 豪華な生活 / 財産への道 / こん / お地蔵さまのくれた熊 / 不景気 / 暗示 / デラックスな拳銃 / 冬の蝶 / ハナ研究所 / 闇の眼 / オアシス / 賢明な女性たち / ピーターパンの島 / アフター・サービス / 贈り主 / 情熱 / 謎の女 / 友を失った夜 / 誘拐 / おみやげを持って / 貴重な研究 / 小さくて大きな事故 / キツツキ計画 / 薄暗い星で / クリスマス・イブの出来事 / 調査 / 春の寓話 / 死の舞台 / 肩の上の秘書 / その夜 / ひとつの装置 / ねむりウサギ / 変な薬 / 壁の穴 / 指導 / 羽衣 / 繁栄の花 / 古風な愛 / 黒い棒 / コビト / 宇宙の英雄 / ごきげん保険 / サーカスの秘密 / 分工場 / 人間的 / 夢と対策 / 唯一の証人 / 箱 / スピード時代 / 幸運への作戦 / 品種改良 / もたらされた文明 / ゆきとどいた生活 / 危機 / 殺し屋ですのよ / 華やかな三つの願い / そそっかしい相手 / 隊員たち / 恋がたき / 災害 / さまよう犬 / 人形 / 無料の電話機 / 追い越し / 帰郷 / 妖精 / 反応 / いじわるな星 / フィナーレ / 狂的体質 / 災難 / 欲望の城 / 契約時代 / 雪の女 / ネコ / 午後の恐竜 / にこやかな男 / あるエリートたち / 依頼 / 善意の集積 / 語らい / けちな願い / あるノイローゼ / テレビシート加工 / 進歩 / ガラスの花 / あすは休日 / 臨終の薬
早川書房 世界SF全集35 日本のSF(短編集)現代編
トメハルさんから情報をいただきました。お礼を申し上げます。
ありがとうございました。

「祖母宅で父の昔の蔵書を発掘しました。そのうちの一冊がこの本です。

世界SF全集35 日本のSF(短編集)現代編

石川喬司 福島正実編 早川書房
1969年4月20日初版印刷 定価880円

 表紙の装丁はSF全集28と同じです。
 全六部構成になっていて、各部にタイトルがつけられています。26人の作家の35作品が収録されており、そのうち星さんの作品は以下の2作です。

第二部 来たるべき明日
『白い服の男』

第六部 イマジネーション・その他の世界
『鍵』

 他の作家の方々は、小松左京氏、筒井康隆氏、手塚治虫氏、北杜夫氏、石川喬司氏、 福島正実氏等がおられます。以下、解説も書かれている福島正実氏による簡単な作家紹介。

 星 新一

 大正十五年(一九二六)東京生まれ。東大農学部薬学科卒。敗戦直後、若くして、大正−昭和初期にかけて薬品メーカーとして覇をとなえた星製薬の三代目社長となったが間もなく倒産、苦悩の日々を送った。その頃から同人誌<宇宙塵>に拠ってSFを書きだしたが、昭和三十二年(一九五七)その一篇『セキストラ』がミステリ雑誌<宝石>に転載されたのを機会に、SFショートショートを書きはじめ、今日にいたった。十年余の間に書かれたショートショートは五百篇にも及ぶが、その軽妙洒脱なスタイルと洗練された都会的アイロニーは、SFファンのみではなく、ひろく日本読書人に受け入れられ、SFショートショートという独自の世界が確立された。 著書は現在まで十九冊。(…以下略)」

(トメハルさん談)

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