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ウインクホシヅル 私家版「花とひみつ」 ジャンプホシヅル
星さんとイラストレーター和田誠さんの出会い。


私家版「花とひみつ」
 星作品のイラストといえば、真鍋博さんと並んで有名なのが和田誠さん。
その和田さんと星さんの出会いについて紹介します。

「花とひみつ」は、限定400部発行だったため、幻の絵本となっています。

私家版「花とひみつ」表紙
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「私家版の絵本は、朝日新聞の学芸欄でとりあげられた。
いまや幻の本となっている。」(『きまぐれフレンドシップ2』−「和田誠 彼との縁」より)

SFマガジン1998(H10)4月号
和田さんの追悼文『星さんとの対面』

『』内は和田さんの文章から引用。

『ぼくと星さんのおつきあいは、1964年にさかのぼる。

 その頃の星さんの作品に、「あーん あーん」というのがある。星さんにとって初めての子ども向けショートショートで、依頼したのは児童文学者であり当時「ディズニーの国」という雑誌の編集長であった今江祥智さん。その挿絵をぼくが描いたのだが、初めて星作品に絵をつけたのはとても嬉しかった。ぼくは学生時代に「おーい でてこーい」に魅せられてからずっと、星さんのファンだったのである。

 当時ぼくは自費出版の絵本を作り始めていた。絵本の仕事をしたくても頼まれないので、自分で勝手に作ろうと思ったのだ。そのシリーズに、星さんのショートショートによる絵本を考えた。どうやって依頼しよう。たった一度挿絵を描いただけの無名のイラストレーターの話に有名作家がのってくれるだろうか。今江さんに相談したら、話してあげておいてもいいよ、と言ってくれた。

 ある日会社で(ぼくは勤務デザイナーだった)電話を受けると、その人は星新一と名乗り、「ぼくに何か用があるそうだけど」と言った。ぼくは驚き、自分がどう答えたのか何も憶えていない。』

『星さんと初対面の日のぼくは、ずいぶん緊張していた筈であるが、若気のいたりというか、厚かましいところもあって、自費出版の絵本のためにショートショートを書いてほしいこと、ただし原稿料は出せないこと、その代り出来上がった本を何冊でもさし上げます、というようなことを言った。

 わがままな注文を星さんはきいて下さり、ぼくが適当に設定した締切の期日に原稿が郵送されてきた。ぼくは勇躍、絵本にした。それが「花とひみつ」である。限定400部の小型絵本であったが、のちにフレーベル館から大型の絵本として出版されたし、アニメーション化もされた。』

『「花とひみつ」以来、星さんのご指名で挿絵を描くことが多くなった。星さんのコンビ画家では真鍋博さんがすでに大活躍されていたが、若い人向きと思われるものは、ぼくにお呼びがかかる、ということだったかもしれない。星さんはエッセイに「和田さんのおかげで中学生にまで読者が広がった」と書いてくださったことがあるが、社交辞令半分としても嬉しいお言葉である。

 最近になって若い人、例えば小泉今日子ちゃんとか荻野目洋子ちゃんに初めて会った時、「和田さんの名前は子どものころから知ってました。星新一さんの本を読んでたから」と言われる。おじさんとしてはだらしなくニコニコしてしまう。いつまでも星さんのおこぼれにあずかっているのである。昔のお礼や、こういうことの報告が、とうとうできないままになってしまった。』

『きまぐれフレンドシップpart2』
「和田誠 ―彼との縁―」
より

『』内は星さんの文章から引用。

『和田さんとはじめて組んだのは、今江祥智さんが編集していたリーダーズ・ダイジェスト発行の「ディズニーの国」とかいう幼年雑誌だったと思う。たぶん「あーん、あーん」という作品だった。』

『「絵本を出したいと思いますので、ストーリーを書いて下さい」
と言う。スマートでおとなしそうな青年だった。たばこ「ハイライト」のデザインをした人とは、その時は知らなかった。』

『絵本の構想を聞いていると、どうやら原稿料なしらしい。』(中略)『たまには、ただ原稿もいいだろう。
なんとなく、そんな気分にさせられた。そして書いたのが「花とひみつ」である。わりと気楽に書けた。いまでも気に入っている作品である。』

『本の装幀もよくお願いする。真鍋さんのおかげで年配の人に読者がひろがり、和田さんのおかげで中学生あたりまで読者がひろがり、おかげで私は大いに助かっている。』

『作家とイラストレーターの交際は、一般の人の想像するほど、ひんぱんではない。好きな形容ではないが、「心でつながっている」といった感じなのだ。』

キンダーおはなしえほん「はなとひみつ」
キンダーおはなしえほん「はなとひみつ」表紙
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 昭和53年3月1日付で、キンダーおはなしえほん として出た「はなとひみつ」です。
幼稚園経由で売られ、一般書店では売ってなかったようです。
(ホシヅルさん談)

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