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ウインクホシヅル SFを創る人々 ジャンプホシヅル
SFマガジン1963年12月号より引用。


SFを創る人々
 資料はホシヅルさんからいただきました。お礼を申し上げます。
ありがとうございました。

☆★☆ SFを創る人々・その7 ☆★☆

星新一氏

インタビュアーは大伴秀司氏。SFマガジン1963年12月号より引用。

   第1楽章 やや無責任に・・・

――質問します。SFの書き方を教えてください。
「教えてあげましょう。原稿用紙を机の上に置き、万年筆をおもむろに取り上げて、右の上のほうから一字一字マス目を埋めてゆき、(中略)だれでもSFが書ける」(あなたのすばらしい空想を、まとめる試みの決心が第一)」

――SFを上手に書くには?
「なるべく値段の高い原稿を使う」(それだけ入念に書こうという気になるでしょう)

――SF作家として売り出すには?
「ファンを買収し、批評家を買収し、貸本屋を買収し、(中略)」(金で買収するのではないよ。サービスをもって・・・。自己満足だけでは、だれも読んでくれない)

――長編SFを書く秘訣は?
「短編のラストに”つづく”と書く」

――ショートショートの書き方は?
「まず5、60まいの短篇を考え、それを10枚に縮めれば簡単に書ける」

――SFは文学ですか?
「そういうマジメな話はよくわからぬ。SFもサシ絵があるうちは文学ではない、であろう」

――SFの本格派とは?
「私のが唯一の本格派で、他はみんな変格である」(創作は学校の試験とはちがう。模範答案がはじめからあると思うのはまちがいでしょう)

   第2楽章 やや自叙伝風に・・・

「私は文京区本郷曙町で生れた。幼少の頃より頭脳明晰、末は博士か大臣かと、騒がれずいぶん女の子を騒がせたものだ」
 小学校は女子高等師範付属小学校。いまのお茶ノ水女子大付属である。女の子がやたらと多く、男の子は小さくなっていた。

「まるでハレムのようなクラス。初恋なんてする気もおきなかった。女の子の人気は圧倒的だったけどね」
 得意とする学科、特にない。好きなものも、特にない。
 若き日、愛読した文学を作家別に見れば、1.乱歩 2.谷崎 3.荷風 4.森鴎外。

「学校を出てから、親父(星一氏)の会社の重役のイスに座ったが、経営不振でうまくいかなかった。社長室で空飛ぶ円盤の研究団体に入ったのもこのころです。(中略)第1作『セキストラ』が宝石に転載され、ここにニッポン最初の偉大なるショート・ショート作家が誕生した次第」

「科学的な血と文学的な血と親父の大ブロシキとが、ほどよく混り合って、星新一という偉大キテレツな大文豪が飛び出したのである」

   第3楽章 やや真面目に・・・

≪これからのSFはどうあるべきか≫
 大人の読み物にならんといかんでしょうな。このまま、中、高生の読み物というイメージが広がったらSFも終りだろう。今は、なんとなくそういうところもある。心配ですな。

≪批評家に望む≫
 SF的な論理の飛躍を身につけて、それを社会評論の分野にまで利用すること。たいていの社会評論は観点が固定しているようだが、思いもしないような論理を展開し社会時評を試みてもらえると面白い。日本のためにもなるとおもうんだがなあ。

   第4楽章 やや身辺雑記的に・・・

≪新聞≫
 テレビの番組表を10分くらい見るだけ。といって、テレビもそう見ない。他面は読まない。

≪映画≫
 恋愛映画はつまらないので見ない。精神年齢の高い人間には面白くない。怪奇ものと『スパイ対スパイ』のようなものはよろこんで見る。

≪趣味≫
 落語=面白さの典型。作家たるもの必ず勉強すべし。
 根付け収集=江戸時代、印鑑につけた装飾品で祖父ゆずりの趣味。精巧な細工で日本的な凝り性の集大成のようなところが面白い。
 無人島マンガ、精神分析医マンガ収集=孤島に流された男や女を主人公にしたマンガが1000枚以上。もっとも単純化された舞台に人間生活のあらゆるドラマが表現されている点、アメリカ俳句といってもよく、ショートショートの参考になる。たくさん集めて整理分析し論文を書きたい。精神分析医マンガは100枚。
 フランス小話=たいていの人は読んだだけで忘れてしまっているが、作家になるには、これを一つでも暗記して、人に話して面白がらせる練習をすべし。暗記することによって”話”というものの構成法や面白さがわかってくる。これを下らないと言う人は作家になるのを止めたほうがいい。人を面白がらせるのが作家の義務だから。

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